「牧師・宣教師のストレスと燃え尽きについて(9)―燃え尽きに気づくために

<燃え尽きというより枯渇>

日本ではよく「燃え尽き」という言葉が、
何か部活や受験などでがんばりすぎた後の虚脱感などに使われている気がします。

でも燃え尽き症候群というのは、なんかそういうニュアンスのものではないようです。
「燃えてる」人よりも、
「やさしい人」がなるっぽい。

一時的なもので、ほっとけば治る、みたいに思われている気もしますが、
うつ、ひいては自殺などに発展しかねないものなので、決して軽くみてはならないそうです。

とはいえ、病気ではない(症候群)し、うつでもない。
(ただし、一種の外因性うつと考える人もいるし、
うつへと発展していく人も少なくない)

じゃあいったい何なのよというと、

「情緒的消耗感、脱人格化、個人的達成感の低下」
の3 つが、燃え尽き症候群の主な症状だそうです。

要するに、心が疲れ、気遣いが面倒くさくなり、やりがいがない・・てこと?

ん?誰でも当てはまる?
そうですね、誰にでもそんな時があるといえばありますが。。。

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<そんなあなたに燃えつきチェック>

これはOMFでもらった燃え尽きチェックリストです(私訳)。
何ヶ月かに一度やるといいそうです。

以下。

  ***燃え尽きチェック***

この簡単なテストは燃えつきの注意信号に気がつくために作られたものです。
過去3~6ヶ月の間に起こっていることと照らし合わせてみて下さい。

0=ほとんどまたは全くない
1=たびたびある
2=ほとんどいつもである

1) 常に疲れきっている/ほとんどいつも疲れている
2) いらいらしやすくなっている/短気になっている
3) 人と過ごす時間(家族や友人とでさえも)が減っている
4)決断するのが難しくなってきている
5)集中するのがしばしば難しいことに気付いている
6)慢性的にもの忘れがひどい
7)なげやりな気分ー「だから何?」「知るか」
8)睡眠に障害があるー眠れない・不充分・寝すぎている
9)たびたび、朝起きても疲れがとれていない感がある
10)しばしば自分を価値がないと思うー「自分は失格者だ」
11)自分の働きに対し熱心や楽しい気持ちがない
12)食欲の変化ー食べ過ぎ・食欲がない
13)普通の義務や責任を見落す
14)ほとんどの時、認められていない気持ちでいる
15)責任やプレッシャーを重荷に感じている
16)与えられた時間の中で達成できることがどんどん少なくなっていると思う
17)細かいことがとても気になってしょうがない
18)ノーといえない度が上がっている
19)やけに独断的、頭の固い、こむずかしい人になっている
20)自分を仕事に追い立てすぎている
21)家族や友人に対して皮肉、あるいは批判的になっている
22)仕事や生活上での退屈さが全体的に増している
23)働きや人生への明確な見通し/展望がない
24)生活のどの分野においても「どうにもならない」感が増している
25)しばしば身体にこんな症状がでる ー頭痛、腰痛、胸の痛み、
   腹痛、下痢、消化不良、湿疹、アレルギー、しつこい風邪、事故、など。
   (一つの症状につき一項目として採点して下さい。)

合計点が出たら、以下を参考に。

0ー5 健康(青信号)
6ー10 注意(黄色信号)
11ー20 緊急に変化が必要(赤信号) 
21ー30 燃えつきー度合いは点数に応じて
30以上 うつ



以下のような、日本版バーンアウト尺度というのもあるそうです。


1 こんな仕事, もうやめたいと思うことがある。E

2 われを忘れるほど仕事に熱中することがある。PA

3 こまごまと気くばりすることが面倒に感じることがある。D

4 この仕事は私の性分に合っていると思うことがある。PA

5 同僚や患者の顔を見るのも嫌になることがある。D

6 自分の仕事がつまらなく思えてしかたのないことがある。D

7 1 日の仕事が終わると「やっと終わった」と感じることがある。E

8 出勤前, 職場に出るのが嫌になって, 家にいたいと思うことがある。E

9 仕事を終えて, 今日は気持ちのよい日だったと思うことがある。PA

10 同僚や患者と, 何も話したくなくなることがある。D

11 仕事の結果はどうでもよいと思うことがある。D

12 仕事のために心にゆとりがなくなったと感じることがある。E

13 今の仕事に, 心から喜びを感じることがある。PA

14 今の仕事は, 私にとってあまり意味がないと思うことがある。D

15 仕事が楽しくて, 知らないうちに時間がすぎることがある。PA

16 体も気持ちも疲れはてたと思うことがある。E

17 われながら, 仕事をうまくやり終えたと思うことがある。PA


注 E:情緒的消耗感
  D:脱人格化
  PA:個人的達成感(逆転項目)

((日本労働研究雑誌57特集:仕事の中の幸福 2007年1月 
『バーンアウト(燃え尽き症候群)ヒューマンサービス職のストレス』
久保真人(同志社大学教授))

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<普通のストレスと、燃え尽きは何が違うのか>

メインなのは「情緒的消耗感(emotional exhaustion)」。

(あとの二つ(「脱人格化」「個人的達成感の低下」)は
その結果現れるものと考えられているそうです。)

消耗感/疲労感はストレスの一般的な症状ですが、
この場合、「情緒的」という限定付きなのがポイント。

むしろそれは、心という皮袋から、ゆっくりと水が漏れていくような、
意識することも、気づくこともないほど、
「だんだんと進むプロセス」であり、
でも「対応を誤れば人生を破壊するほどの威力をもつ、深刻なもの」なのだそうです。


<こんなかんじのもの>

「毛布越しに働いているみたい」「内面が死んだよう」「疲労感」「水のなくなったタンク」
「まるで別人」(今までエネルギーに溢れていた姿とは全く対照的な状態になる)
「周囲の人たちに対して怒り・敵意・不信感」
「意欲の減退」「ストレス性の身体症状(頭痛・肩こり・不眠・胃腸障害など)」
「自分に自信が持てない」「すべきことを成し遂げたと実感できない」
「周囲を思いやる余裕がない」「人間関係が苦痛」「わずらわしい」「感情が不安定になる」
「回復後ももはや同じ自分ではないと感じる」


<燃え尽きのプロセス>

 1)態度の変化:怒りっぽくなり,不平不満が増える。人や物に対して疑い深くなったり,
寡黙でひきこもりがちになる。

 2)逃げの行動:クライアントとの対等な関係を避け威厳的に接するようになる。
忙しそうな振りをしたり,仕事を休みがちになり,転職を希望するようになる

 3)ストレス性の身体症状

 4)燃え尽きの否認:自分の価値を実証しなくてはという強迫観念から,
スケジュールをさらに過密にしたり,困難なケースを担当する。仕事をスーパーマン的にこなすことで,
存在感をアピールしようとする。

 5)崩壊:1~4の悪循環から,不安・怒り・恐怖感などが強まる。
抑うつ感と攻撃性が高まり,正常な人間関係が保てなくなる。

・燃え尽きによる崩壊の危機から逃れようと、ひきこもりや飲酒や薬物乱用に走ることも。



<ちなみに、脱人格化って?>

妙な日本語に思えますが、
非人格的な、思いやりのない対応をすることを意味するそうです。

たとえば、看護士が患者を症状名で呼び、個人名で呼ばなくなる。
あるいは、書類の整理など事務的な仕事にとじこもる。
難解な専門用語を振りかざして人との接触を避ける。
なども、脱人格化。

これは、例えば
砂漠で「飲み水があと少ししかない・・」となったときに、
自然に「水をなるべく使うまい」とするように、
情緒的資源を使い果たしてしまったときに、
本能的にそれを「節約」しようとする、自然な反応なのだそうです。


<どのような人がリスク高い?>

職種:
教師、医師、看護師、ソーシャル・ワーカーなど、社会的にモラル水準への期待度が高く、
仕事への献身を美徳とされる職業に多いそうです。
(ウィキペディアより)

年代:
特に30代前半の独身女性に多いという説もありますが、幅広い年齢層だそうです。

タイプ:
「職務上の役割と自分の人格とを分けてとらえることができない人」

例えば、苦情や攻撃を個人の人格に向けられたものととらえてしまうとか。

「マニュアル的な対応」で事を処理してしまえない人」
「ひたむきな人」「他人と深く関わろうとする人」

逆に言えば、信頼され、感謝されるようなサービスを提供できる人。
多くの仕事を成し遂げようとし、できないことに悩む人。

など。

別の言葉で言えば、
心を尽くし、献身的に、身を投げ打って、全力投球で、
感情労働してる人。


<どんな状況でリスク高い?>

過重負担。

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例えば日々接するクライアントの数、会う時間の長さなど、
「 職務上の過重負担がバーンアウトの発症と密接に関係していることを報告している」そうです。
(Lahoz & Mason, 1989; Friesen &Sarros, 1989; Shinn, Rosario, Morch & Chestnut,1984;田尾, 1989 など)。


報われなさ。

愛するが、愛されない―愛の病と言ってもいいのかもしれません。

「際限なく繰り返される相手からの要求と慢性的な人材不足、
そのような環境の中で、
ひたむきに他人との深い関わりを保ち続けている人が、
極度の消耗をへて、バーンアウトに陥ることは想像に難くない。」(以上、久保氏)

なんだか、耳が痛いくらい日本の牧師に通じる気が。。

など。

牧師の燃え尽きや、回復のプロセスなどは、また今度!

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