牧師・宣教師のストレスと燃え尽きについて(2)―牧師のストレス状況―

<寿命長い?>

クリスチャンは長生きらしい!
と前に新聞で読んだことがあります。
心の状態が安定することとか、お酒やタバコが少ないこと等が体にいいのかも?

宗教家は長生きらしい!
日本の職業別平均寿命の一位が宗教家、というのも読んだことがあります。
牧師だけだとどうなのかしりませんが。
宣教師は短いと聞いた気もしますが。

ということは、単純に考えて牧師は長生きできる楽な仕事なのでしょうか!?

(* おことわり:
牧師職を「仕事」と呼ぶと、「え~、仕事ってゆうか~」と感じる方もおられるかと思いますが、
ここではあえて職業としての牧師職を考えたいと思うので、ご了承ください。
私自身、職業選択として牧師や宣教師になったわけでもなく、
そういう意味では、生計のための仕事として牧師職を考えたことは全くないですけど。)


<牧師は「気楽な稼業」?>

厳しい「この世」の競争社会、過酷な労働条件で働いている人々に比べて、
牧師という職は「信仰の世界」で、天国的!?で、ストレスもないと思われることでしょう。

確かに、日本の多くの社会人は、本当に大変だと思います。
それで毎日ぎりぎりまで働き、さらに日曜は教会でもばりばり奉仕したりしている日本のクリスチャンの方々というのは、すごいです。
本当にスーパーマン!?としか言いようのない感じです。

そんな教会員の方々に比べたら、
牧師は月曜日に出勤しなくていいし、
ていうか(牧師館に住んでいる場合)毎日通勤しなくていいし、
てことはラッシュもないし、
上司もいないし、
教会生活と社会生活を両立しようという苦労もないんだから、
いいよね~
・・・と思われてもしかたありません。

「平日は何やってるの?」
と聞かれて、わかり易い答えを探して、
「結婚式を自分で準備したことありますか?
それを縮小したのが礼拝だと思って下さい。
それを毎週一人で準備してる感じです。」
と答えたりしたこともあります。
でも、これは礼拝とその準備に関してだけの、見える仕事の部分に関する答えにすぎませんが。

<見えない仕事>

「仕事するの日曜日だけでしょ?いいなぁ!しかも好きなこと言うだけ(説教するだけ)でしょ?」というのが、
一般的な誤解、ではないかと思います。

誤解されるのも、仕方がないと言えば仕方がないことで、
牧師の仕事の大部分は見えない仕事なのだと思います。

「信じられないくらいの仕事をしてる」「大変そう」
忙しい牧師の働きを近くで見ている人は、そう思う人も多いと思います。

私も神学生の頃、周りの先生方を見ていて、
「すっごいなぁ・・あの先生、一体いつ寝るんだろう・・・」などと思ったものです。
しかし。
それでも、牧師職の7割は見えていなかったことに、あとで気づきました。

なので、結局本当に牧師のストレスを知ることができるのは、本人だけなのではないかと思います。

ところが、実は当人も自分のストレスを理解していない場合もあったりして。
見えない仕事が多いので、
「自分は、こんなに「サボって」いるのに、なぜこんなに疲れてるんだろう」と思っている牧師もおられるのではないかと思います。

さて、長い前置きはこれくらいにして・・・
(前置きだったの!?)

<牧師は実はストレス職>

欧米でドラッグ依存症、アルコール依存症、自殺の問題を一番かかえているのが
医者、弁護士、牧師だそうです。

ちょっと古いですが、1996年のオーストラリアの調査(対象は聖公会およびプ ロテスタントの合わせて6900教会(32万4千人))では、
牧師の約80%が極度の精神的疲労に苦しんでいるかストレスを感じている
56%「燃え尽きる」一歩手前の状態にある
21%ストレスをさほど感じていない
20%が「ストレスが家族生活にも大きな影響を与えている
19%が「生活に大きな支障をきたしている
15%何でも相談できる人が教会にひとりもいない
12%仕事を辞めようと思ったことがある
12%仕事に向かないと 思ったことがある
4%が極度の精神的疲労に苦しんでいる

分析すると、
最もストレスが少ないのは ペンテコステ派、最も多いのは救世軍。
年配の牧師より若い牧師のほうがストレスが多い。
回答者の半数以上が、牧師の教育・訓練のあり方に問題を感じている。
・・・
などの結果が出たそうです。
[参考:ルーテル・アワーPS/2001年]

他の調査(多分フラー神学校)では、

90%の牧師は充分に訓練されていないと感じている。
80%はミニストリーが家族に悪影響を与えていると感じている。
70%は親しい友がいない。
50%は自分に求められている要求を満たしていないと感じている。

殆どの牧師は妻と親しい愛の関係を築いていない。
牧師は職業の満足度が最も低いものの一つである。
牧師の一番の動機付けは罪責感である。

などの結果が出たそうです。

[参考: www.drmeeko.net/stuck/j11.pdf]

新しいところでイギリスの2005年の調査では:
(いつも、たびたび)/(時々)
47%/98%の牧師がストレスに苦しんでいる
26%/63%  孤独で苦しんでいる
15%/82%  性的誘惑で苦しんでいる
14%/86%  精神的にダウンしている(feeling depressed)
14%/82%  家族関係で苦しんでいる(suffering from family tension)
14%/70%  「書けない」(from writer's block)で苦しんでいる
6%/83%  怒りを感じている(feeling angry)

ということで、「時々」を見るとどれもびっくりするほど高いですが、
「いつも」というとストレスと孤独が一番の問題みたいです。
その背景をもう少し見てみると、

90%の牧師が週に46時間以上働く
90%  職務の要求をこなすに十分な訓練を受けていないと感じている
75%  重大なストレスで危機的状況になったことがある
70%  最初にこの職に着いた時よりも低い自己イメージを今持っている
50%  日々、自分のすることは大して意味がないと感じながら仕事に行く
40%  月に一度以上、教会員と深刻な葛藤がある
40%  過去3ヶ月以内に牧師を辞めていたかもしれない

こんな感じだったそうです。
(http://www.christiantoday.com/news/ministries/uk.evangelical.survey.reveals.stress.as.biggest.problem.for.pastors./307.htm)

牧師の四人に一人は燃え尽き症候群。
とかいうメモも手元にはあるのですが、
どこのことだったかよくわからなくなってしまいました。すみません。

アメリカでは、毎月1500人の牧師がいろいろな理由で(燃えつきや不祥事や衝突などで)その職を離れているそうです。
(http://blog.worldvillage.com/society/reframing_pastor_burnout_and_pastors_leaving_ministry.html)

月に1500人って。多いな~。

でもそんなアメリカからきたある宣教師は、自分のブログでこう書いていました。
「日本の牧師には本当に驚きです。
彼らはありえん量の仕事とストレスを抱えていて、それはアメリカでは聞いたこともないほどのもので、それで彼らはやり続けているんです。
ここでは、牧師不足とお金不足と、その他さまざまな理由のために、彼らは数年ごとに移動しなければならないのです。」
(diciples of hopeの21.1.2009の記事)

<日本の牧師の状況>

日本のこういうデータがあるのかないのかよくわかりませんが、
私の感じでも、日本の牧師って、
これら英米オーストラリアの牧師より、さらに輪をかけて大変だと思うんですよね。

日本の牧師は皇室の次にストレスのかかる職種ではないか
と藤掛先生も評されていますが。
http://fujikake.jugem.jp/?eid=1129より)

身近な若い牧師たちが近年次々にうつになっているので、考えてみたところ、
この10年で私の出た聖書学校を卒業し、現在牧会している36名ほどの卒業生の中で、
約四分の一にあたる方々がなんらかの精神的な病を抱えていて、
そのうちの4名は卒業後5年以内にうつになっています。
若くて主任で困難な問題がある教会、などが危険なパターンかと。

では一体、牧師職のストレスはどんなものなのか、というのを次回、もうちょっと考えてみたいと思います。

写真は、OMF板橋祈祷会にて。
まさに「癒しの板橋」。とてもなごむ、楽しい会でした。
画像

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この記事へのコメント

キルトメイプル
2009年04月30日 09:24
こんにちは。
桜ヶ丘教会の前田です。
今は牧師先生に限らず、
政治家でも学校の先生でも、先生と呼ばれる仕事はみんな大変なのかも知れませんね。
民主主義の時代なので、昔は何でも先生にお任せしてたのが、
今は普通の人でも、自由に発言するようになって来ている。
生徒の父兄のほうが高学歴で、学校の先生も大変みたいですよ。
ぶんこ
2009年05月01日 12:39
そうですね~。学校の先生も、今は普通以上に大変ですよね。
キルトメイプル
2009年05月02日 02:33
アハハ、そうですね。
私など会社でこき使われている、バイトや平社員が一番楽かもですね。
でも先生受難の時代ですが、
乗組員が文句ばかり言ってる無責任市民ばかりだと
船がどこへ行くかわかりません。
先生と呼ばれる指導者の方々ももちろん必要ですよ。
文子先生もがんばってくださいね。
へへへのへ
2009年05月02日 22:32
イギリスの2005年の調査を読んで、ビックリしたけど、調査結果と、私が今まで見聞きしてきたことを照らし合わせて考えてます。ありがとう。こうして知ること、そして、考えることから始まって、祈りを向けることができるから。
ブンちゃんの観察と研究(?)の成果を分かち合ってくださってること、感謝してるよ~&応援してるよ~
ぶんこ
2009年05月03日 23:52
キルトメイプルさん、へへへのへさん:どんな世界でもリーダーの孤独とか、責任ゆえの重圧はありますよね。そのゆえに普通に人間として持っている弱さが押し込められて爆発したりするのかもしれませんね。私は今はそういう意味では楽をさせて頂いています。
このブログで皆さんに励ましてもらえているのでとてもありがたいな~と思っています。
gray hair
2009年05月05日 14:54
いや~・・・・・。すごい!これだけ調べていることもですが・・・・・。牧師先生がここまでストレスを抱えて生きてるとわ。じっくり何度も読んで・・・・しっかり考えます。えっと今思うんは、牧師先生は、ほんま大変やから、しっかり祈って・・・・そして、一つでもストレスを取り除くことができたらと思います。新卒で若い牧師先生が倒れてるのは特にあかんと思います。信頼する、信徒が多くいることが大事やと思います・・・。秘密が守れて、なんでも相談できて、同世代で、60,70,80代の方々のクレームにも対応できる、やさしくときに厳しく・・・・・なかなか一人でやんのはしんどいっすから。

ぶんこ
2009年05月07日 13:50
gray hairさんへ:これを読んで考えるきっかけになってくれれば嬉しいです。確かに、牧師だけがいろいろ考えても始まらないことですからね~。うんうん。

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